幻獣図鑑「プレイング・マンティス」

テネブラエの森に生息している、2mほどの巨大なカマキリ型モンスター。
手を合わせて、うなだれるように頭を下げる仕草が、まるで神に祈りを捧げているかのように見える為、その名が付いた。
草原などにいる数cmサイズのカマキリと同様にノコギリの歯のような返しがついていて、大きく発達した前肢からは何人たりとも逃れることはできない。
また革鎧の類は、簡単に噛み千切ってしまうほどの強靭な顎を持つ。
森の中には、プレイング・マンティスに生きたまま食われて所々食い残された凄惨な遺体が転がっていることがあり、運悪くそれを見てしまった者は正気を失ってしまうとされている。
成人したばかりで右も左も分からず、軽率な行動を取ろうとする私を叱って、時には諭してくれた魔術師も、同じような体験をしたことがあるようだ。
森の生態系の中では上位の捕食者として君臨し、もしいなくなったら地上が昆虫型モンスターに埋め尽くされてしまうと危惧されている。
腹部は若干柔らかいので後ろに回り込めたら、容赦なく斧や槍の強烈な一撃を見舞わせたり、魔術を打ち込んでやろう。

ヘンリー・W・エヴァンス著『幻獣図鑑』より